建築設計においての敷地分析の方法について。 学生さんを念頭に書きましたので、実施設計とは要領が違うかもしれません。 では早速。 1.敷地分析の手順 いきなり敷地に行くのは効率的ではありません。 下のような敷地分析図を描いてから行くのをおすすめします。 描き込む内容は敷地によって異...

学生向け!建築設計に役立つ敷地分析のやり方

 
建築設計においての敷地分析の方法について。

学生さんを念頭に書きましたので、実施設計とは要領が違うかもしれません。

では早速。

1.敷地分析の手順

いきなり敷地に行くのは効率的ではありません。

下のような敷地分析図を描いてから行くのをおすすめします。


描き込む内容は敷地によって異なりますが、私は「人が敷地にどの方角から来るのか」と「ブロックしたい要素」、「設計のチャームポイントになる要素」を必ず描き込むようにしています。


建築は人のためのものなので、敷地周辺の駅、主要道路などは一番最初にマークします。

これで「どこから人が敷地やって来るのか」が見えてくるので、その方角に「人を招き入れるような設計」をします。


「ブロックしたい要素」とは、例えば騒音となる高速道路、ゴミ処理場など、不快となる要素のことです。

これらが見えないように立面を設計したり、開口部がなくてもいい部屋を持ってきたりします。


「設計のチャームポイントになる要素」は、よい景色など、敷地をその他90%の場所と区別できるような要素のことです。

アトリウムなど、こういう要素をフルに堪能できる設計をもってきましょう。


また、その地域の歴史に関する文章を読んで、神社など、その土地に深い影響を与えた施設もあれば、もちろん描き込みます。


だってそうでしょ?右も左も分からない土地で、荷物持ちながら、通行人から不思議な目で見られながら、メモして、写真撮って、ついでに実測するとか、私にはできない技です。


今はGoogle Earthが発達していますので、よっぽど偏僻な場所でなければ、ネットでほとんどの情報が得られます。


では、現場では何をするのか?敷地の雰囲気を感じとるのです。

敷地は、うるさい場所?閑散とした裏路地?それとも裏路地だけど人が集まる場所?こういう雰囲気は地図上からは分かりません。

また、下調べの時に、不確かな部分や「設計のチャームポイントになる」要素だけ、現場で重点的に見て、写真に納めるのもこの時。



2.敷地分析図の描き方

敷地分析図は、最終のプレゼンボードに小さく載せることが多いので、それなりに美しく描きます。

下絵は、こちらの方法で準備するか、自分でなぞったりもよくします。

また、先ほど紹介した3つの要素を表す符号は最初に決めておくと便利です。

例えば、人のアクセスはオレンジの矢印、ブロックしたい要素はグレーの波線で囲む、チャームポイントになる要素は黄色の矢印、、、というようにです。


3.やめた方がいい敷地分析図

このような商業、住宅、工業を塗り分ける敷地分析図は、建築の課題ではあまり意味がありません。 


敷地のすぐ横に建つ建物の機能は必要ですが、広範囲で塗り分けるのは時間がかかる上、設計コンセプトを決める根拠にならないからです。

これが必要なのは、建築が何棟にも分かれているなどの、都市計画よりの課題の時です。
 
Copyright ©