建築の魅力の一つに、「敷地との呼応」があります。 そこで、数回に分けて、 敷地の種類別に建築の作り方 を紹介していきたいと思います。 どこにあってもいいような「自閉症建築」ではなく、「その土地にカスタムメイドされたような」建築をつくるよう頑張ってください。 今日は、「 自然に建つ...

敷地が自然にある建築の設計方法

 


建築の魅力の一つに、「敷地との呼応」があります。

そこで、数回に分けて、敷地の種類別に建築の作り方を紹介していきたいと思います。

どこにあってもいいような「自閉症建築」ではなく、「その土地にカスタムメイドされたような」建築をつくるよう頑張ってください。

今日は、「自然に建つ建築の設計方法」について。「建築と自然がどうやって関わっているのか」に注目しながら読んでください。


自然×建築の設計方法1.借景をしてみる

借景とは、窓から見える景色を作為的に選ぶことです。ピクシャーウィンドーとも呼ばれ、古くから日本庭園に使われていました。

遠くから自然をゆっくり眺められるので、一味違った贅沢が味わえるのです。


例えば、TAO(迹·建築設計事務所)設計の「半山取景器」。

建築が三つに枝分かれしていて、3つの景観:「劉公島、港、環翠楼」を眺めることができます。

半山取景器のコンセプトダイアグラム↓



自然×建築の設計方法2. 建築全体を持ち上げてみる

建築を地面から完全に浮かせて、自然と干渉しないようにしてみましょう。

例えば、山水秀建築事務所設計の「上海華鑫ビジネスセンター」。建築を浮かせているうえ、敷地の楠木を避けるように配置しているので、自然への干渉を少なくしているのです。



自然×建築の設計方法3. 大きな半屋外空間を作ってみる

せっかく自然の中に建つわけですから、建築と自然を同時に体験できるように、半屋外空間を作ってみませんか?

例えば、藤本壮介さん設計の「House of Hungarian Music」。ハンガリーに建つ音楽の博物館&学校です。


大きく出っ張ったキャノピーが、大きな半屋外空間を作り出しています。

また、建築の周りに樹木が密集しているため、「森の中を歩いていたら、いつの間にか建物内に入っていた!」という感覚を与えてくれます。
ちなみに、屋根の形状は「木漏れ日」を模倣しているのだとか。


自然×建築の設計方法4. 自然の造形を建築に使う

周りの自然から造形を見つけて、建築に使うこともできます。

例えば、隈研吾さん設計の「中国美術学院民芸博物館」。
山岳に建つ美術館です。

切妻屋根の勾配を山の勾配と同じにし、ランダムに重ねることで、「天然の美しさ」を表現しています。



自然×建築の設計方法5.建築を埋め込んでみる

建築を自然の中に埋め込んでみませんか?

例えば、フィンランドの「テンペリアウキオ教会」は、一枚岩をくり抜いています。

中に入るとこんな感じ:

天井から差し込む日光が、岩の壁にあたり、神聖な空間にしてくれています。地下の暗くて湿ったイメージを一掃してくれますね。


もう一つは、BIG設計の「Blåvand Bunker Museum」。
デンマークにある美術館で、丘を切り裂いたような形をしています。


自然×建築の設計方法6.その他の関わり合い方

いかがでしたか?いくつかの自然と建築との関わり合い方を紹介しましたが、まだまだ方法はあります。

この動画をぜひ見てみてください。

千葉学さんが、「瀬戸内の別荘」の設計過程を説明しています。

その名の通り、瀬戸内海辺に建つ個人宅で、「このように自然と関わりたいから、このような形にした」などと、スタディ模型を用いて、ロジカルに説明しています。







 
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